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※個人や勤務先が特定されないよう、一部の経緯は変更・一般化しています。
面接が終わり、内定が出た——そこで気が緩みがちですが、転職で後悔するかどうかは、内定後・入職前の「労働条件の確認」でかなり決まります。面接で見られるポイントは医師の転職面接に書きましたが、この記事はその先、内定後に何を確認しておくかを、私自身が実際に確認したことをもとに整理します。
そして最後に、正直に書きます。私は、年収交渉をしませんでした。 その理由も含めて。
まず「労働条件通知書」を必ずもらう
口約束や求人票の記載だけで入職しないこと。労働条件は、書面で確認する。
使用者は、労働契約を結ぶときに労働条件を明示する義務があります(労働基準法第15条)。契約期間・就業場所・業務内容・勤務時間・休日・賃金・退職に関することなど、重要な事項は書面などで示されることになっています。これを「労働条件通知書」で必ず受け取り、面接で聞いた話と食い違いがないかを確認する——ここが出発点です。
さらに、2024年4月からは、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示も必要になりました(厚生労働省)。これは、入職直後だけでなく、将来の配置転換なども含めた変更の範囲を明示するというものです。後で触れる「他の院に行くことがあるか」に直結する、大事な変更点です。
以下、私が実際に確認した項目を、順に挙げていきます。
勤務日と休みの確認
クリニック勤務で、意外と後から効いてくるのがここでした。
- 土日・祝日の扱い:診療日はどこか。祝日のある週は、勤務日がどう変わるのか
- 休診日の振替:クリニックの休診などで、勤務が別の曜日に振り替わることはあるか
- 振替に出られないとき:もし振替日に都合がつかず出られない場合、給与はどう扱われるのか
「週◯日勤務」という条件だけ見て安心せず、祝日や振替で実際の勤務日がどう動くのかまで確認しておくと、入職後の「そんなはずでは」を防げます。
有給休暇についても、一つ具体的に確認しました。外せない用事があるとき、どのくらい前に言えば休みが取れるのか。 有給が「ある」ことと「実際に取れる」ことは別なので、運用の感覚を聞いておくと安心です。
時間・当直の確認
- 時間外はつくのか、そして頻繁に時間をオーバーすることがあるのか:残業代の有無だけでなく、「制度上はこうbut実際は毎回残る」というギャップがないかを確認
- 当直・オンコール:私の場合はクリニックで当直はありませんでしたが、これも書面で明示させておく項目です
診療時間が明確で、残業がほとんどない——それを事前に確認していたことは、面接の記事でも書いた通り、私にとって外せない条件でした。
就業場所・業務の「範囲」を確認する
ここが、2024年4月の改正と重なる部分です。
- 他の院に行くことがあるか:もしクリニックが複数あるなら、入職した院以外での勤務を求められることはあるか。これは「就業場所の変更の範囲」そのものです
- 専門外の業務を求められないか:診療以外にどんな業務があるか、自分の想定を超える役割を求められないか(「業務の変更の範囲」)
「入職直後の勤務地・業務」だけでなく、契約期間中に変わりうる範囲まで、書面で確認しておく。ここを曖昧にすると、後から想定外の異動や業務を打診されたときに、断りにくくなります。
お金まわりは、月給だけで見ない
年収は月給だけでは決まりません。全体像を確認します。
- 給与額:提示された額を確認(私の場合の話は後述します)
- 昇給:あるのか、どういう考え方か。私も一言、確認しました
- 賞与・退職金:あるのかないのか
- 医師賠償責任保険:誰が加入し、誰が負担するのか。私はここを確認しました
- 社会保険:完備されているか
特に医師賠償責任保険は、負担者が誰かで実質的な手取りにも関わるので、確認しておく価値があります。
私は、年収交渉をしなかった
ここが、この記事でいちばん正直に書きたいところです。
転職では「年収は交渉すべき」とよく言われます。でも私は、提示された給与を、そのまま受け入れました。交渉していません。
理由は2つです。
一つは、条件が明確で、納得できたから。勤務時間・休み・当直・保険まで確認したうえで、提示額に見合っていると判断できたので、あえて交渉する必要を感じませんでした。
もう一つは、そもそも給与だけで決めていなかったからです。私が最終的に重視したのは、新しいことを学べること、自分の専門性を広げられること——お金は大事な要素ですが、それ「だけ」で決めたわけではありませんでした。
念のため書いておくと、交渉が悪いという話ではありません。 譲れない条件があるなら、伝えるべきです。ただ、「交渉すれば年収が上がる」とは限らないし、無理に条件を釣り上げて入職すると、かえって職場との関係が始まりからぎくしゃくすることもあります。
もし交渉が苦手だったり、自分では言い出しにくい条件があるなら、転職エージェントが条件交渉を代行してくれるという方法もあります。ただし、エージェントには成約させたいという動機もあるので、提案を鵜呑みにせず、最終的な判断は自分でする——この前提は忘れないでください。エージェントの使い方は医師の転職活動は「併用」が基本にも書きました。
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医師転職ドットコムまとめ:内定後こそ、書面で確認する
- 労働条件通知書を必ずもらい、面接で聞いた話と照合する(労働基準法15条)
- 勤務日・休み(土日祝・振替・振替不出時の給与・有給の運用)
- 時間・当直(時間外の有無と実際、当直の有無)
- 就業場所・業務の「変更の範囲」(他院勤務の有無・専門外業務/2024年4月〜明示必須)
- お金の全体像(給与・昇給・賞与退職金・医師賠償保険・社会保険)
- 年収交渉は、してもしなくてもいい。ただし「交渉すれば上がる」とは限らない
内定は、ゴールではなく確認のスタートです。ここを書面で丁寧に詰めておくことが、入職後の満足度を左右します。退局・退職の側の手続きは医局・病院を辞めるときの事務手続きチェックリストに、面接での伝え方は医師の転職面接でよく聞かれる質問への回答例にまとめています。
(※労働条件の明示事項や運用は制度改定があります。実際の確認にあたっては、労働条件通知書の記載と、必要に応じて厚生労働省の公式情報をご確認ください。)
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この記事を書いた人 医師のキャリア迷子相談室。医師・医学博士・日本医師会認定産業医。大学病院勤務を長く経験したのち、クリニック勤務へ。転職活動の実体験はnote「医師転職体験記」で連載しています。
※本記事中の制度・法令は執筆時点の公開情報に基づくものであり、改定されることがあります。最新かつ正確な情報は、厚生労働省・都道府県労働局等の公式発表をご確認ください。


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