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※個人や勤務先が特定されないよう、一部の経緯は変更・一般化しています。
面接で「何を見られているか」は、医師の転職面接でよく聞かれる質問に整理しました。この記事はその続きで、実際にどう答えるか——言い回しの例を、私自身の面接経験をもとにまとめます。
先にお願いを一つ。ここに書く回答例は、丸暗記するための模範解答ではありません。面接官は「用意してきた台詞」を見抜きます。あくまで、自分の言葉に置き換えるための下敷きとして読んでください。
① 退局理由・転職理由——ここがいちばん難しい
面接官が最初に、そして最も注意深く見るのがここです。見られているのは理由の中身そのものより、「逃げ」なのか「前向き」なのかです。
避けたい答え方は、医局・人間関係・待遇への不満を並べることです。事実だとしても、聞いた側は「うちでも不満が出たら辞めるのでは」と受け取ります。
回答例(前向きに変換する)
「医局では多くを学ばせていただき、成長している実感もありました。ただ、続けるほどに、一度これまでとは違う環境で、新しいことを学んでみたいという気持ちが強くなりました。」
私自身がそうでした。正直に言えば、医局にいて日々成長している感覚はあったのです。ただそれは、狭い塔の中を、上へ上へと登っていくような感覚でもありました。同じ塔の中で高くなっていくより、いちど外に出て、新しい世界で別のことを学びたい——それが本音でした。
ただ、この「狭い塔」という感覚を、面接でそのまま口にするのは避けました。医局批判に聞こえかねないからです。本音は前向きな言葉に翻訳する。これが退局理由を語るときの、いちばんのコツだと思います。
② 志望動機——「なぜ、この職場か」
見られているのは、うちで長く働いてくれそうか/ミスマッチしないかです。
どこでも通用する志望動機(「スキルアップしたい」等)は、裏を返せば「ここでなくてもいい」と聞こえます。その職場でこそできることを、一つでいいので具体的に挙げるのが効きます。
回答例
「①でお話しした”新しいことを学びたい”という思いに対して、こちらでこそ得られる経験があると感じました。そこにいちばん惹かれています。」
私の場合、「新しいことを学びたい」という軸と、その職場でそれが叶いそうだという感触が、志望動機の中心でした。何を学びたかったかの中身までは、ここでは控えます(個人が特定されかねないので)。大事なのは、自分の”動きたい理由”と、その職場の”できること”が、一本の線でつながっていることです。
③ これまでの経験——数字で語る
見られているのは、即戦力として何ができるか。ここは口頭でも、事前の書類でも、数字で語るのが鉄則です。「外来を担当していた」ではなく「外来1日平均◯人」。書き方の詳細は医師の職務経歴書の書き方にまとめました。面接は多くの場合、その書類の「答え合わせ」です。
④ 希望条件——譲れない線は、はっきりと
見られているのは、条件が現実的にすり合うかです。ここを曖昧にすると、かえってミスマッチな提案が続きます。
回答例
「勤務時間と当直の有無については、事前に確認させていただきました。そのうえで、いただいた条件で問題ありません。」
私の場合は、診療時間がはっきりしていて残業がほとんどないこと、クリニックなので当直がないことを、面接より前の段階で確認していました。給与は、先方からはっきり提示があり、それを受け入れました。
ここで一つ、実感を書いておきます。条件が明確に整理されている職場では、面接は”交渉”より”確認”が中心になることがあります。曖昧な求人ほど自分で詰める必要が増え、条件が明快な求人ほどすり合わせは楽になる。求人票の段階での見極めが、面接の楽さに直結します。
⑤ 逆質問——ここで差がつく
面接の最後、「何か質問は」と聞かれる場面。ここを「特にありません」で終わらせるのは、いちばんもったいない。見られているのは本気度と、相互理解の姿勢です。
私が実際に聞いて役に立ったのは、役割と将来像についての質問でした。
回答例(私が実際に聞いたこと)
「私に、どんな役割を期待されていますか。そして、将来的にはどうなってほしいとお考えですか。」
具体的には、将来的に分院長のような立場を想定しているのか、あるいは何か特定の役割を担ってほしいのかを、ぼかさず直接聞きました。これを聞くと、採用側が自分に何を求めているのかの認識をすり合わせられます。入ってから「そんなつもりでは」となるのを防げる、実務的にいちばん大事な逆質問だと思います。
⑥ 想定外の質問——迎合しないという選択
準備していても、想定外の質問は来ます。そのとき、無理に相手に合わせないことも、ときに正解です。
これは、面接を受けたけれど結局入職しなかったクリニックでの話です。面談で、そのクリニックがまだ進出していない地域を挙げられ、「将来そこに開院することになったら、行けますか」と聞かれました。私は基本的に、今あるクリニックで勤務するものだと思っていたので、少し驚きました。
そのとき私は、迎合する必要はないと考えました。だから率直に、他の地域で勤務する考えはないと伝えました。結果として、そこには入職していません。
ここから伝えたいのは、**面接は”受かる場”ではなく、”相互に合うか見る場”**だということです。受かりたい一心で条件を飲んで入ると、後で自分が苦しみます。合わないと感じたら、率直に伝えていい。それでご縁がなければ、もともと合わなかっただけです。
面接は、準備がすべて
回答例をいくつも挙げてきましたが、結局のところ効くのは事前準備です。その職場が過去の面接で何を聞いてきたかは、医師専門の転職エージェントが情報を持っていることがあります。自分一人で身構えるより、こうした情報を使うほうが、はるかに落ち着いて臨めます。
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医師転職ドットコムまとめ
- 退局理由は、前向きな言葉に翻訳する(不満を並べない)
- 志望動機は、その職場でこそできることに結ぶ
- **経験は数字で。**書類との整合が「答え合わせ」になる
- 希望条件は、譲れない線をはっきりと
- 逆質問で、役割と将来像をすり合わせる
- **想定外の質問には、迎合しない。**面接は相互に合うか見る場
面接で見られているポイントの全体像は医師の転職面接でよく聞かれる質問に、書類の準備は医師の職務経歴書の書き方にまとめています。
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この記事を書いた人 医師のキャリア迷子相談室。医師・医学博士・日本医師会認定産業医。大学病院勤務を長く経験したのち、クリニック勤務へ。転職活動の実体験はnote「医師転職体験記」で連載しています。


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