産業医は更新しないとどうなる?|「認定産業医」と「産業医」は別物という話

産業医

※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。

※個人や勤務先が特定されないよう、一部の表現は一般化しています。

※産業医制度の要件・単位数・取り扱いは改定されることがあります。本記事は執筆時点の公開情報に基づくものであり、実際のご自身の扱いは、必ず所属の医師会や公式情報でご確認ください。

「産業医の資格は、更新しないとどうなるのか」——調べてみると、意外とはっきり書かれていません。そして多くの場合、その背景には「認定産業医」と「産業医」を、同じものとして考えてしまっているという混同があります。

正直に書くと、私自身、この違いをはっきり区別できていませんでした。認定を維持している間は、更新しないとどうなるかを考える必要がないからです。今回、労働安全衛生規則と公式情報を確認したうえで、分かった範囲を整理します。制度の解釈にあたる部分もあるので、実際のご自身の扱いは、必ず所属の医師会や公式情報でご確認ください。

まず結論:「認定」と「産業医」は、別物

先に要点だけ書きます。

  • 日本医師会認定産業医は、更新しないとその「称号」を失う
  • ただし、労働安全衛生法上の「産業医」になれるかどうかは、別の話
  • 基礎研修を修了した事実があれば、認定が切れても「産業医」として選任され得る(制度上)
  • ただし実務では、「認定産業医であること」を求められる場面がある

順に見ていきます。

日本医師会認定産業医は、更新しないと「称号」を失う

まず、更新制度そのものから。

日本医師会認定産業医の認定証には有効期間(5年)があり、その間に産業医学生涯研修を20単位以上修了することで更新できます。そして、更新を受けなかったとき、認定を辞退したとき、医師の資格を失ったときなどに、その称号(認定)を失うとされています(日本医師会認定産業医制度)。

つまり、更新しなければ、「日本医師会認定産業医」という肩書きは失効する。ここは明確です。単位の集め方など、更新の実務は認定産業医の更新にまとめました。

問題は、その先です。「認定を失う」=「産業医ができなくなる」なのか。

でも「産業医になれるか」は、別の要件で決まる

ここが、いちばん混同されやすいところです。

事業場で選任される「産業医」になるための要件は、労働安全衛生規則第14条第2項に定められています。そのうちの一つが、「厚生労働大臣の指定する者が行う研修を修了した者」——これが、日本医師会(または産業医科大学)の基礎研修を修了したことにあたります(認定産業医の手引・厚生労働省)。

ここで大事なのは、「研修を修了した」という事実は、一度きりのものだということです。基礎研修を修了して認定産業医になった——その「修了した」という事実は、その後に認定を更新するかどうかとは、別の話なのです。

言い換えると:

  • 基礎研修の修了=産業医になるための、法律上の要件(一度満たせば、その事実は残る)
  • 認定の更新=日本医師会という団体の「認定(称号)」を維持するための、5年ごとの手続き

この2つは、地続きに見えて、実は別のレイヤーにあります。

だから、認定が切れても「産業医」にはなれる(制度上)

以上を踏まえると、こうなります。

認定産業医の更新をせず、称号が切れても、基礎研修を修了している以上、労働安全衛生法上の「産業医」として選任される要件そのものは満たしたまま——というのが、制度の構造から導かれる整理です(いわゆる「一般産業医」として活動できる、という説明もあります)。

あなたが聞いたことがあるという「認定はなくなるが、産業医自体はそのまま」というのは、この意味では正しい、ということになります。

ただし——ここは公式情報が一文で明言している部分ではなく、規則の構造から読み取れる整理です。繰り返しになりますが、ご自身の実際の扱いは、必ず所属の医師会や公式情報で確認してください。

ただし、実務では「認定産業医」を求められることがある

制度上は選任され得るとしても、実務は別です。

企業や産業医紹介会社の中には、「日本医師会認定産業医であること」を条件として提示するところがあります。認定は、産業保健に関する研修を継続していることの、分かりやすい証明になるからです。

つまり、「法律上、産業医になれるか」と「実際の求人・契約で選ばれるか」は、別問題ということです。認定が切れていても法律上は産業医になれる、けれど、認定を条件にする案件からは外れることがある——この両面を知っておく必要があります。求人側がどんな条件を求めるかは、産業医求人の探し方の観点とも重なります。

では、更新しない選択はありか

ここは制度の話ではなく、私の考えです。

「もう産業医をやる予定がない」と本当に言い切れるなら、更新しないという選択も、ひとつの合理的な判断だと思います。 更新には単位の取得という手間もコストもかかります。使わない資格の維持に労力を払い続ける必要はありません。

一方で、私自身は認定を維持する判断をしています。理由は単純で、将来の選択肢を残しておきたいからです。臨床一本で行き詰まったときに、産業医という働き方がもう一つの道として使える——その状態を、更新の手間と引き換えに保っている、という感覚です。

どちらが正しいという話ではありません。「この先、産業医という選択肢を使う可能性があるか」——そこを自分に問うてみると、更新するかどうかの判断はしやすくなると思います。

まとめ

  • 日本医師会認定産業医は、更新しないと称号を失う(5年・生涯研修20単位)
  • ただし「産業医になれるか」は別の要件(労働安全衛生規則14条2項=基礎研修の修了など)
  • 基礎研修を修了した事実があれば、認定が切れても「産業医」として選任され得る(制度上・要確認)
  • ただし実務では「認定産業医であること」を条件にされる場面がある
  • 更新するかは、「この先、産業医という選択肢を使う可能性があるか」で考える

更新を続けるかどうかは、産業医としてどのくらい稼働するかとセットで考える話でもあります。産業医の嘱託を含めた非常勤の働き方は医師の非常勤・スポットバイトの始め方にまとめました。

繰り返しになりますが、制度の解釈にあたる部分を含みます。ご自身の実際の扱いは、必ず所属の医師会・公式情報でご確認ください。

産業医の仕事の実際は嘱託産業医は実際に何をしているのかに、資格の取り方は認定産業医の取り方にまとめています。

嘱託・非常勤の産業医案件を眺めてみるなら、バイト特化のサービスで「産業医」と検索してみるのが手軽です。

▼医師バイトドットコム(無料登録・「産業医」で検索できます)

医師バイトドットコム

いまの自分に合う記事の読む順番を知りたい方は、医師の働き方診断「読む処方箋」もどうぞ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました